2018年11月22日木曜日

Beatlesのリミックス

Beatlesのリミックスを望んでいる。「Beatles原理主義」とでも言うような「絶対オリジナル主義」のファンも結構いるようだが、個人的にはリミックスに大賛成だ。
もちろん、私もリアル・タイム世代ではないから、後追いとして当時の音をそのまま聴きたいと思う気持ちは強いし、『Love』のような企画はたまには良いが、頻繁だと神話を冒涜されているようであまり良い気持ちはしないし、どうしても60年代を神聖視してしまうような部分もある。

すでに最後のオリジナル・アルバムがリリースされてから48年。ほぼ半世紀になる。2009年のリマスターでオリジナルに忠実にという作業は完了したと考えて良いのではないか。これからも技術革新があり最新技術で昔の音が良くなることはあるだろうが、すでにいい線をいっていると思う。

それよりも、そんな最近技術を駆使しながら、60年代のスタイルであるモノやリズム・トラックが全部片方のチャンネルから聴こえるようなステレオ・ミックスを聴くというのは何とも滑稽ではないかと思う。
現代の感覚を持った最新鋭のリミックスを聴いてみたいと思う。それは一種のBeatlesの新譜に近い感覚だ。

ただ、Beatlesを深くリスペクトしてくれる人たちに作業をしてもらいたい。『Love』のようにBeatlesで遊ぶのではなく、あくまでBeatlesの新しい楽典というか、バイブルというか、次の時代にも通じるような時代を超越するリミックスであってほしい。
それは60年代がまだ技術の発達があまりにも未熟だったからだ。2005年と2015年の曲を聴いても、多少の流行り廃りはあるものの時代の違いは決定的には分からない。1960年と1970年だと劇的に違う。60年は普通はモノラルの時代だが、70年代にはステレオの時代になっている。録音方法も、2チャンネルしかないので、歌と演奏と、そのバランスを見てお終いという感じだったものが、8チャンネルでステレオが普通、それ以上も登場しつつある。楽器もギター、ベースはもちろん、ドラム、ピアノ、オルガンに弦楽器等、すべてアコースティックだったが、70年代にはシンセサイザーのような電子楽器も登場している。
そして現在はデジタルの時代で、チャンネル数は実質無限だし、音の加工も修正も細かな調整もすべて出来る。60年代とは何もかもが違う。そういう現代の環境の中で出来上がる現代感覚のリミックスが聴いてみたい。

当時の録音はアナログ・テープへの録音で、それに重ねて録音していたり、そもそもすでにミックス前の音が残っていないものもあるので、すべてを完全にリミックスするのは無理だ。
しかしそれでも可能なことはたくさんあるので、是非ともそれに期待したい。

すでにリミックスされた『Sgt. Pepper』と『White Album』は素晴らしかった。オリジナルへのリスペクトが充分に感じられながら新しいものが出来た。新たな発見が沢山あってとても楽しいものになった。
これから全アルバムになっていくのか分からないが、是非やってほしいと思う。特に初期のものをやってもらいたい。どの程度遡れるのか、そもそも録音した時もたいしたトラック数は使っていないので、リミックスと言えるほどのものはないのかもしれないが、やる価値はあるだろう。
2009年のリマスターも初期のステレオのものは完全に左右に別れているのではなく、多少中央よりに寄せてあったので、これも一種のリミックスだが、もっと大々的にやってほしいと願うのだ。

昔のLP(全部は持っていないかったが)から、1987年のCD、2009年のリマスターと購入し、わずかな違いを楽しんだ。あとはリミックスを聴ければ安心して死ねるというものだ。

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